保護者への提言

【うちの子、小さい】はギフト。対格差に悩む親子に、私が「焦らなくていい」と断言する理由

「もっと食べなさい。身体を大きくしないと勝てないよ」

試合で大きな相手になぎ倒される息子を見て、ついそんな言葉をかけてしまったことはありませんか?

15年間、中学1年生の指導現場に立ち、4人の子を持つ父として、その焦る気持ちは痛いほど分かります。自分の子が小さくて苦労している姿を見るのは、親として本当に辛いものです。

しかし、指導者として数千人の選手を見てきた私は、あえてこう断言します。

「今、身体が小さいことは、将来の彼への最高のギフト(贈り物)である」と。

なぜ、体格差に悩む今が「おめでとう」と言いたくなるほどのチャンスなのか。小柄な選手が、後に大型選手を翻弄するまでに至った理由を、私の経験に基づきお話しします。

「もっと食べて大きくならなきゃ」と焦っているお父さん、お母さんへ

週末の試合、必死に走る我が子が、相手の肩一発で吹き飛ばされる。その光景を見て「せめて平均身長があれば」と願わない親はいません。

私自身、4児の父として同じ葛藤を抱えてきました。ですが、焦って「食事の量」や「筋トレ」だけで解決しようとするのは、実は下策(あまり良くないやり方)です。なぜなら、成長のスピードは神様が決めるもので、コントロールできないからです。

コントロールできないことに親子でイライラするよりも、今しか手に入らない「ある特別な能力」に目を向けてみませんか。

体格差という「不自由」が、子供に授ける5つの能力

身体が大きくパワーで解決できてしまう選手は、実は「技術や知性を磨く機会」を奪われていることが少なくありません。逆に、身体が小さい選手は、生き残るために強制的に脳を使い倒す環境に置かれています。

1. 常に周りを見る「眼」:当たられたら終わりだからこそ、首を振り、危険を察知するレーダーが誰よりも発達します。

2. 常に考え、悩み抜く「脳」:まともにぶつかったら勝てない。だから「どうすれば?」と1秒も思考を止めない習慣が身につきます。

3. 筋力に頼らない「身体の使い方」:力で押せないからこそ、重心移動や脱力を使い、効率的に相手をいなす身のこなしを体得せざるを得ません。

4. 泥臭い頑張りを超えた「工夫」:真正面から行かずに裏をかく。「ずる賢さ」こそが、小柄な選手の生存戦略です。

5. 闘いを省略する「術」:無駄な接触を避け、パス一本、トラップ一つで局面を変える「洗練された技術」が宿ります。

155cmの彼が教えてくれた「ギフト」の使い道

私の教え子に、中学2年生で157cmの選手がいました。彼は常に自分より15cm近く高い相手に囲まれていましたが、一度も力で挑もうとはしませんでした。

彼がやっていたのは、「頑張って闘うこと」を捨てることでした。

相手が狙っているやろうとしていることを察知し、その逆を突く。

ボールを持てば、常に遠くを見ながらキックフォームを見せて相手守備陣の動きをコントロールしていました。

彼にとって身体の小ささは、相手を油断させ、迷わせ、狙いを定めさず、知性でハメるための「最高の武器」だったのです。

親の役割は「身長を伸ばすこと」ではなく「工夫を面白がること」

親御さん、今日から「もっと食べなさい」と追い詰めるのを、一度お休みしませんか。

その代わりに、お子さんが試合で見せた「小さな工夫」を、誰よりも早く見つけて、面白がってあげてほしいのです。

「今のパス、相手をよく見て逆を突いたね!」「あの体の向き、相手は触れられなかったね」

親がその「工夫」を評価し始めると、子供は「小さくても勝てるんだ!」と、自分の知性を磨くことに没頭し始めます。この自信こそが、晩成型の選手にとって何よりの栄養剤になります。

まとめ:晩成型の逆襲は、もう始まっている

もちろん、何もしなくていいわけではありません。この「ギフト」を活かすためには、フィジカルに頼らない環境と、正しい「知性の磨き方」が必要です。

もちろん、ボールを扱うスポーツですから思った通りにボールを扱うスキルも必要です。

今はまだ、ギフトという名の「種」を植えている時期です。

芽が出るのは明日ではないかもしれない。でも、高校生になってフィジカルが追いついた時、中学3年間で必死に磨いた「知性」と「スキル」は、かつての天才たちを置き去りにする圧倒的な武器になります。

晩成型の逆襲。その準備は、もう始まっているのです。

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